基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

BEATLESS 読書中メモ

『BEATLESS』は長谷敏司が発表したSF作品。わざわざこのブログに載せるので、ライトノベル系統の流れをくむ作品でもある。長谷敏司先生は円環少女などで有名だがあなたのための物語やこのBEATLESSのようにSFに最近寄ってきている。この作品が、すごい。SFとはこういうものだ、というぐらいSFだ。具体的にはヒューマノイド・インターフェースエレメンツ、いわゆる人型ロボットが一般化した世界を書いているのが本作だ。

人型ロボットを作る理由はいくつかあるが、その最たるものは「人間の脳は人間を意識するように出来ている」という人間の脳構造に由来する。人間は赤ちゃんとして産まれてきてから、他人の行動を真似することで学習していく。笑い、泣き、怒り、手をふり、そうした日常的な動作を赤ちゃんのときから、他人の行動を認識して学んでいくが、この学びは「人間」でなくては発動しない。人間にとって人間は認識野に先天的に刻まれている「認識しやすい」ものだ。

だからこそ人型インタフェースがよりリアリティを帯びてくれば、は携帯やパソコンと同等かそれ以上に生活に必要不可欠なものになる可能性もあると、有名な工学博士でありロボットと人間の認識を研究・実験している石黒浩さんが書いている。人型インタフェースは単に非効率なものではないのだ。一方で人型であるということはひとつの問題を提起する。

人間と同じように行動し、同じように振る舞う存在がいたらそれは人間を見分けがつかない。そんな存在を目の前にして、人間はどうやってそれと付き合っていくのか。こうした従来のロボット物におきまりのテーマに加えて、人間が自分の持つ機能をすべて機械が代替するようになった時、人間に最後に残るのは何かという重いテーマもある。

そうした「THE・SF」というテーマを抱えながら本作は物語の構造がめちゃくちゃライトノベル的なのだ。やけに仲がいい主人公と妹。主人公は流されやすいお人好し。そして5体のそれぞれ特殊な能力を持ったヒューマノイドインタフェースエレメンツたち。そして5体それぞれを持ち、お互いに利権をかけて戦う所有者。主人公であるアラトが所持するのは、その中でも特別な機体だ。

重厚なテーマと、そして社会の描き方をしているにも関わらずプロットはライトノベル的だ。ライトノベルSFなどがあるが、本作の分類は難しい。どちらの要素もある。これはおもしろいが、どう捉えたものだろうか。たとえばSFレーベルから出ているライトノベルっぽいもの(作者もライトノベルデビュー)が最近いくつかある。系譜としてはそれに連なるのだろう。

これはその中でも飛び抜けているが。円環少女からして既に並のライトノベルじゃなかったからなあ。並の、といっているのはプロットの複雑さと構成の巧みさ、それらを含めた物語の洗練のされ方。そしてその次に発表された『あなたのための物語』は、ライトノベルっぽさがほとんどないまさに「THE・SF」作品だった。本作はそのちょうど中間といったところだろうか。

大ファンなのでちょううれしい。