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基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

獣の奏者(読書中メモ)

一巻を読み終えたところ。なんだこれは、傑作すぎる。すごい。おもしろい。どこがどう、とうまくいえないのだが日本的ファンタジーだ。まあ剣と魔法、それから指輪物語に代表されるようなモチーフがまったく出てこないからなのかもしれない。西洋のファンタジーはたいていその文脈の上にあるからなあ。ドワーフとかさ。詳しくはまだ書かないが、読んでいて驚いたのがこれがファンタジーでありながら根底に流れているのは科学的な分析と知的欲求だったことだ。

ファンタジーは一般的にいって「ファイヤー!」と答えたらマナを消費して火が出るんですよー、という「そういうものだ」っていう世界観で、「なぜそうなっているのか」は問題とされない。なぜドラゴンがいるのか。なぜドワーフがいるのか。知的生命とは何なのか。そうした問いかけがされることはない。しかし本作においては闘蛇と呼ばれる特殊なドデカイ蛇や、王獣と呼ばれるファンタジー動物が「なぜ生まれたのか」「違いはなんなのか」「野生と人に飼われている状態で違いが出てしまうのはなぜなのか」という分析的手法で世界の謎にせまっていく。

これはある意味SF小説的手法だろう。これは著者の上橋さんが研究者であり、オーストラリアの先住民アボリジニを研究していたという経歴からもくるものであろう。現実をみつめ、そこに何らかの理路を見つけ出す。ファンタジーと相反するものであるように思っていたが、これが興奮しきってしまうほど素晴らしい。なぜ? なぜ? なぜ? と問いかけ、仮説を立て、実験・検証し、そして誰もが観たことのない場所へと到達していく。研究とはそういうものだ。誰かがやっていることをやったってしょうがない。その精神が、ファンタジーと信じられないぐらいちゃんと融合している。

おもしろい。二巻を読むぞ!