基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

冴えない彼女の育てかた

いやー二巻もおもしろかった。実は今続刊をいちばん待ち望んでいるのはこのわりかし地味な『冴えない彼女の育てかた』なのであります。著者はエロゲライターの丸戸史郎。WhiteAlbum2、この青空に約束をパルフェなど地味〜でファンタジー要素がま〜ったくない恋愛を延々と書き続け、それでいてどれもがまったく違った読後感を与える稀有なライターであります。いやほんと凄いよね。これだけ芯を変えずに、それでいて装いを常に一新させながら、変化を出してくるライターってのは。

供給はコンスタントかつ安定のクォリティで、もし僕が仕事を発注するならこの方程安心して任せられる方はエロゲライター界にもそうはおりますまい(どんどん適当な放言になっていっている)。

ストーリーはタイトルが表していて、なんとも冴えない加藤恵というこれまた冴えない名前の女の子を主人公がゲームのヒロインにして同人ゲームを創ろうとする話。略しすぎた。まあ骨格は「同人ゲームを作ること」で、主人公の周りにはこの加藤恵と、現役ラノベ作家と、現役の売れっ子同人漫画家がいる。当然どれも美少女だ。主人公が行うのはディレクタ兼プロデューサーであり、彼らはありがちなサークル結成後の落とし穴にハマっていく。

これだけだと何が面白いのかさっぱりわからないのだが、うーむ。主人公は少しマイルドになった島本和彦キャラのような感じで、熱意だけは誰よりもある。熱意のないディレクタ兼プロデューサーではまるきり何にも話が始まらないので、彼が当然ながら起点となって話を進めていく。で、これまたライトノベルのお約束通りラノベ作家と同人漫画家は完全に主人公に惚れており、加藤恵もまたその途上にある。

ちょっと話題を脇にそらして文章について。特にうまくないように見える。状況描写がほとんどなく、思考と会話でテンポ良く進む。まあエロゲーだと状況描写はむしろ逆だからね。しかしそうした部分をばっさりと、小説だから頑張ろうとするんじゃなくて、切り捨てているところがいいね。できないことをやるもんじゃないよ。やったらできそうだけど。

台詞の後に通常くる〜〜が言った といった描き方 「今日マジマクドで超マブい女子高生がいたんすよ」と加藤清正が言った。 みたいなやり方がほぼなく(ほぼと書いたのはそんな精確に数えているわけではないから)この辺も若干違和感はあるが、何分登場人物が基本4人しか居ない上にほとんど一緒に会話する場面がないのであまり問題ない。

さて。なにが面白いんだろうな。ゲーム制作を進めていく上での困難は設定されているが、あまり書き込まれていない。そうしたところはさくら荘のペットな彼女の方が上だろう。また参戦しているメンバーのシナリオと絵が二人共プロ級な為、技量不足、完成させられないといった不安感も特になく、なんだか物語にしにくそうな、感じ。

しかし最初から関羽張飛を抱えておきながらあれだけ苦戦して物語の主役にされることの多い劉備だっているからな……(なぜいきなり三国志で例える)。主人公もまた劉備みたいにとは言わないが、非常にやる気があり有能なので安心して読んでいられる。ということはやはりゲーム作りの場面に惹かれているわけではないのか??

いやいやそうではない。なんか割とうまいんだよね。当然彼らが創るゲームは作中作なんだけど、これをかなり具体的にプロットを作りこんで、さらにそれを練り上げる、あるいはボツにする為に議論を交わすシーンを織り込んであるために説得力がある。バクマンとは違うぜ(無駄な対比)。でもそれはさくら荘もやってたからなあ(笑) あまりユニークポイントではない。※そういえば実際に丸戸さんが使うフォーマットとまったく同じ形式の企画書が本書の末尾につけられていて、「へーこんなふうにゲームを売り込むのかー」と勉強になっておもしろかった。活かす機会はこなそうだが。

あとクリエイターの業が語られたり。しかしまあ、薄味かな。やはりメインはラブコメで、丸戸さんがずっとやってきたところが面白いのかな。しかし加藤恵を萌えキャラにするという一つのポイントは、いまいち萌えない娘をどうしたら萌える娘に出来るのかを考えていくような問題提起があって面白かったが、変化することによってありきたりなラノベヒロインになっていってしまうというジレンマを抱えている。

うーん。三巻を読んでから続きは考えよう……。