基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

楽聖少女

いやあ素晴らしい。昨日さよならピアノソナタを話題に出したのでタイムリーですが、これはまあ続編といってもいいでしょう。『さよならピアノソナタ』主演二人の息子さんが主役をはっております。名前は具体的に出るわけではないですが。そしてなんといっても音楽をテーマにし、物語はファンタジーの領域を踏み込み、何より主人公は明確に「物語創作者」の立場をとるようになっています。19世紀のゲーテになってしまった現代高校生が、美少女なベートーヴェンや当時の有名音楽家たちとコントラストを奏でていくのです。既存の杉井作品の集大成かつその先へ──といったところでしょうか。ガシッと前に進んだな、という印象。

物語を書くこと。音楽をつくること。これについて村上春樹の言葉が胸にしみる。

僕のお気に入りのジャズ・ピアニストの一人に、セロニアス・モンクがいる。以前、彼にどうやったらそんなに素晴らしい音をピアノから叩き出すことができるのかと尋ねた人がいた。するとモンクは鍵盤を指さしてこう言ったのだ。「新しい音なんてものはどこにもない。鍵盤を見ればわかるけど、音はもうぜんぶ決まってるんだ。でも音に十分な意味を与えてやると、その響きが違ってくる。ほんとうに出したかった音になるのさ!」 文章を書くとき、僕はよくこの言葉を思い出す。そして自分に言い聞かせている。「その通り。新しい言葉があるわけではない。僕たちの仕事は、ありきたりな、なんでもない言葉に新しい意味と特別な響きを与えることなのだ」この考えは僕を勇気づける。わたしたちの前にはまだ知られざる領域がいっぱいに広がり、肥沃で広大な土地が、誰かに耕されるのを待っているさまが目に浮かぶのである

文章と音楽、どちらも並べ替え方によっていくらでも人を感動させ、なんかテンションをあげさせたり、ぅっとさせたり、やる気を出させたり、前向きにさせたり、自殺させたくしたり、無限の可能性をひめております。このコントラスト、どこまで書き切れるか。見せていただきましょう。