基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

スピリットサークル 01:水上悟志

ああ……水上悟志だなあ。絵はあまりうまくないと思うんだけど、とにかく脚本がうまい。惑星のさみだれのような十巻物もうまいし、サイコスタッフのような一冊もの、短篇集も軒並みうまいとくるのだからこれがたまらない。絵も僕は好きなのだがこの作品、環状の「スピリットサークル」なるものを使って戦ったりするみたいなんだが、この環状のものを持って戦っている姿が恐ろしくかっこわるい。なんかお遊戯会みたいだ。此の先もっとちゃんと描かれたらすげえ! かっこいい! ってなるんだろうか??

せめて変形してくれれば。まあいいか。幾度も転生を繰り返して恨みつらみをお互いに重ねながら生きてきた二人の男女を主軸にした物語のようで、男側は過去の記憶を覚えておらず女の子の方は全部覚えていて男の子に全部思い出させてやるーー!! といってだんだんと過去の記憶、人生を呼び覚ましていって因縁とかが明らかになっていく構成になっている。

驚いちゃうのが、そのテンポがすっごい早いこと。一巻にして、二度分の人生を振り返っている。しかもかなり濃密な人生を、ぽんぽんと、テンポよく語っていく。ほぼ物語展開上必要な台詞のみで構成されていてガスガス状況が進んでいくので気持ちがいい気持ちがいい。鎧ありピラミッドあり制服ありで観ていて飽きない絵面だ。

そして恨み、つらみ。まあなんというか、生きていると人間恨みつらみというのはたまっていくものだ。個人ではなく、人種、種族間でもそれはそうで、たとえば未だに敗戦国から恨まれたり虐殺を恨まれたりこっちだって原発を落としやがってくそ~とか思ったりする。もう世代なんかどんどん変わって当事者なんかとっくにいなくなっているのに。

もちろん僕らはそれを「いや、戦争であんたらの国の人間を殺したり占領したのは自分じゃね~し、シラネーし」といえるしアメリカ人だって「いや自分は原発落としてないし。先祖が勝手にやったことだし」といえる。しかしそれをそう単純に割り切ることができないのが人間なのだろう。見ればわかるもの。

実際、根拠のない話でもない。アメリカ人は原発を落とし日本を強制的にシャットダウンしたことによって今の繁栄があるという言い方もできる。というか、先祖が居なかったら自分たちなんか存在していないんだから、ある程度の責任は引き継がれていくのだとする考えがこの世にはある。それはそれで「まあ確かに」と思ってしまう話だ。

恨みつらみというのは、人が死のうが世代が変わろうが、残るものだ。そう単純に理屈で割り切れるものではない。この物語はどこに向かっていくのかはわからないが、男の子は「とにかく仲良くしたい」と思っていて女の子は「恨みつらみ」型で今はわかりやすくわかれている。男の子が自分たちの過去に因縁があることに気が付き、女の子が「先祖は先祖であり今とは関係がない」という単純な事実をどう受け入れ、そして変わっていくのか。

そして過去が何なのか。スピリットサークルとは何なのか。さあ、テンポよく五巻ぐらいで終わってくれると、嬉しい。