基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

ダンタリアンの書架

いずれ読もうと思っていたのだがいつのまにか電子書籍化していたので全部読んだ。しょうじきいってもう本を電子書籍以外で読む気がしないのだが、まだまだ普及していない。まあ売れないししかたがないだろうが、しばらくの辛抱だろう。しかし本を買うことによってAmazonやAppleといった一部の巨大企業から離れられなくなり、しかもこいつらがなにか間違って倒産でもしたら自分の本が全部消えるかと思うと、どうしようもない気持ちになってくる。なんとかしてこのシステム、変更できないものでしょうか。無理ですか、そうですか。まあ、Jコミがいるだけまだ日本はマシか……。

一巻から八巻までいっさい長編エピソードが挟まらず、短編がずっと続く。

キノの旅をイメージするとわかりやすい。三雲岳斗ファンではあった。ランブルフィッシュアスラクライン、道士さまシリーズと作風とその手法が多彩でどれを読んでも平均的に面白いのだが。プロ作家といった感じでよく書く。あとがきも毎度そっけない。これは俺の仕事ではない、俺の仕事は小説を書くことである、といわんばかりだ(インタビューなどを一切読んだことがないため人となりはまったく不明なので想像だが。)M.G.Hや海底密室といったSF系でわりかしハードな系列にあたる三雲岳斗作品がいちばんすきだ。

ダンタリアンの書架はどうか。

かなり面白いと思う。幻書と呼ばれる禁忌の知識を記した本をめぐる物語で、ちびっこ少女のダリアンとイケメンな20歳ぐらいの男が幻書をもとめてそこらをうろうろする。幻書という設定が実にやりやすくて、「知識」を秘蔵しているという設定でだいたいどんな展開でも出来る。異世界に吹っ飛んだり、次元を吹っ飛んだり、人間が変質したり、天才になったり。SF的展開だろうがなんでもござれ。そうした振れ幅の大きさによって状況を一変させて話が動かせるからたいへん便利だろう。キノの旅でも同メソッドだが。

第一次世界大戦後ぐらいのイギリスっぽい環境が舞台で、そうしたフンイキを味わうだけでも楽しいのはさすがといったところか。それに本がいっぱい出てくるから、それだけでも個人的には満足。幻書っていう設定はいいよね。『本にだって雄と雌があります』も大好きだよ(余談)。

基本的にダリアンと20歳ぐらいの男がメインだが、たまに別グループの話がはさまったり、短編を通して共通して出てくるキャラクタが何人もいたりして、キャラクタ間のつながりが増していくのも面白い。そのままドラえもんメソッドでずっと続けばよかったのだが、8巻で何の前触れもなく終わる。特に最終巻らしいエピソードがあるわけでもなく、普通どおりに短編をやって終わったのでずいぶんと驚いた。

僕は物語には、できれば他の作品から外れたところがほしいと思う。どこにでもありそうな始まりであれば、みたこともないような展開を望むし、みたこともないはじまりであれば、それをどう物語として制御していくのかがみたい。みたこともないはじまりでめちゃくちゃに終わらせるのならば誰もついていかない。ダンタリアンの書架は、まあ普通にはじまって、ただただ三雲岳斗は短編もうまいなあと思っただけで作品は完結してしまった。評価はするが、突き抜けはしない。

Twitterで外人が三雲岳斗さんにダンタリアンの続きはでねーのかどうなんだ!! と迫っていたがなんのプランもないという返答を得ているだけであった。まあしかたがないね。