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基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)

石川博品さくひん。

特段書くこともないのだけど読んで面白かったからいちおう記録に残しておこう。一巻で綺麗に終わっている。

この人の書く作品はどれもバランス感覚が絶妙で、本作で言えば女の子の台詞、喋り方や振る舞いがわりと自然だなと思った。吸血鬼と普通の人間が半々という設定で夜と昼の物理的な距離ではない、時間的な遠距離恋愛という発想もおもしろい。

恋愛小説というのは今もむかしも形式が変わらない。会いたいのに、会えない。会えるが、心がすれ違う。そうしたジレンマとその克服がどれも基本プロットになる。むかしは携帯電話なんかなかったからそのすれ違いの演出はわりと容易だった。さいきんは携帯電話があるから難しい──と思いきや携帯をなくしたり落としたりトイレに落として壊してしまったり電波が通じなかったりする。

もちろんそれだけじゃなくて本当に様々なやり方ですれ違いというのは演出されてきた。本作はそれが「吸血鬼は夜起きて」「人間は昼起きて」という設定で同じ空間を占めているのに時間だけが離れているのがおもしろい。それはたしかに自然とスレ違いになる。携帯にも電話にもでないのが当然だ(相手は寝ているんだから)。でもその二人の時間が交差する時間の交流を書くというのは、おいしい。あとはやっぱり異種族と人間との許されざる恋みたいなモチーフも同時に組み込まれているのも当然。

一巻物だとわりと「わかりやすい悪役を配置して」「主人公が倒して終わり」みたいなあまりにも幼稚なプロットがあったりするけど嫌なやつのいない、ほんわりと心温まる良い人たちばかりの世界でこうしたところも、とても好きだ。