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円城塔:米SF文学賞にノミネート 日本作家で2人目 - MANTANWEB(まんたんウェブ)

おお。なんだかんだいってちゃんとノミネートされたりするんだなあ。サイン会を現地でやって数人しかこなくてもノミネートされるもんだなあと感慨深く思いますね(この話はどこで聞いたんだったか……読者が招待された早川のなんとかってイベントで聞いたんだった。現地でサイン会をやろうとノシノシ行って、その辺の暇そうなファンでもなんでもないおっさんが数人きたぐらいだったという悲しいお話)。

ちなみに英訳版Self-Reference ENGINEKindleで750円で買える。日本語文庫版は500円。ええ時代になったものです。あの有名なフロイトが床下からぽこぽこ出現する冒頭の表現はたとえば次のように翻訳される。⇒『WHEN I WENT to demolish my grandmother’s house. a hole bunch of Freuds came up from under the floorboards.』

どんな風に訳されているのかな〜といろいろ確かめながら読み返しているが、改めて日本語表現がとても素晴らしいと感じる。SFでしかありえない表現というか。たとえば僕はSREで前後の展開も相まって、一番好きな一文を選ぶとしたらこれなのだが⇒『リタは頷き、無限に広がる平面の無数の場所で、無数のリタたちが一斉に頷いた。』これは英訳すると魅力がだいぶ落ちる。『Rita nods, and all across the infinitely broad plane an innumerable number of Ritas all nod together.』理由はうまく解説できないのだが……。

言葉の広がりが円城塔さんの文章では一番好きだ。「無限に広がる平面の無数の場所」という表現はたぶんSFでしか出てこないだろう。無限に広がる平面なんてものは、所詮想像なんてできっこない。でもだからこそ限界まで想像が広がるのだともいえる。詩的表現としては基本的に「無限」は「想像できないもの」として現実に想像できる数としての「プラス1」をつけることが稀にあるが(千一夜物語が有名。)。『これはペンです』に収録されている『良い夜を持っている』の、抽象的な言葉の組み合わせだけで無限にイメージが広がっていく表現なんか、背筋がぞくぞくするぐらい、素晴らしかった。良い夜を持っているの描写の素晴らしさは無限を「無限です」と表現するのではなく1÷7は割り切れないよね? というような仕組みの提示の仕方によって、その問を引き受けた読者の側で「無限が引き起こされる」ような表現なのだよな。もちろんそんな問題形式なんかじゃなく、とても詩的なので読んでもらいたいという他ないんだけど。

なんか脱線したな。英語版の話に戻ると、全体的に英訳が素晴らしいのは確かで、訳を褒める英文のレビューもいくつか見かけた。

これは明日あたりちゃんと記事にしようかなあ。