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基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

The Wolf of Wall Street

三時間の狂乱。まあまたなんとも何かを言いがたい作品であった。プロット的にはずいぶん錯乱している。どこかに絞ったほうがいいような気もするが、それはそれで魅力が消え去ってしまうかな。最後なんて笑っちゃうほど繋がってない。ええ、それがどうしたんだよ笑 みたいな。

この映画に一貫して出てくる主役の男は三時間もの時間を使って人間的な成長をいったものをほとんどみせることがない。まあせいぜい、ドラッグをやりすぎるとマジでやべえ事になるな、とか、人を信頼するなんてとんでもなくナンセンスだな、といったことは学んだかもしれないが、その本質的な部分で何ら変わることがなくバカどもをハメ、自分のために金を得る、それを至上命題としている。観ていてぼけっとしばらく考えていたのだが、そこには爽快さといったものがない。悪役が悪役を貫き通す、ダメ人間の理屈といったものすらもそこにはなかった。なんだかずいぶんその時々で小賢しい嘘をはく、信念なきダメ男だなあというのが最後まで見終えての感想である。

ストーリーは最初、サクセスストーリーとしての趣きをみせる。ウォール街で株屋としてバカどもにゴミクズのような株を売りつけ、持たせ続け、法外な手数料をとる。その為に営業のテクを磨き、それを同じくクズ共に伝授し、営業のうまいクズになったクズ共を束ね上げ、成り上がって金を儲け続ける。しかし映画が「金をとことんまで得る」という最初のピークを迎えた後は延々と狂乱の渦の中に叩きこまれていくことになる。ひっきりなしに薬をつかい、あたりかまわず女とセックスし、ラリった状態で人様に迷惑をかけまくる。FBIに目をつけられればなんとかして逃れようとし、公にできない金をスイス銀行まで運ぼうと画策する。

テンポがよく軽妙に上り詰め転がり落ち狂乱のシーンは楽しくて仕方がない。なので観ている間は熱狂に巻き込まれまったく退屈しないのだが、見終えてみると釈然としない気持ちが残る。成長もなければスカっともしておらず、一夜限りのばか騒ぎを体験して朝起きた後になんて馬鹿な時間を過ごしてしまったんだ……と後悔するような感じ。狂乱を書くにしても成り上がり⇒転落ストーリーにするにしても、その二つをつなぐ軸が欲しかったなあ。3時間のうちの繋がりが希薄なのだ。

しかし金の使い方が古臭くて笑った。美人でおっぱいのでかい嫁、超高いクルマ、嫁の名を持った船、自家用ヘリ、とんでもないぐらい広い家……まあ……とにかく古臭いよなあ。そんなちやほやされて性格が歪んで競争相手が多そうな嫁は問題だらけだし、クルマなんか移動できりゃあいいし、船とヘリを持ってどうすんだよって話で、掃除が大変なプール付きの家って維持費ばっかり高くて誰が得するんだよ、と思ってしまう。現代の価値観でこれを作りなおしたらどうなるだろうなあ。

唯一金の使いみちで感心したのが、たしか結婚前夜だったと思うが会社の人間と何十人か招いて飛行機をチャーターし、そこに売春婦を何十人もよんでフライト中に狂乱三昧、ついたさきでも金を湯水のように使って売春婦を呼び集め一夜にして200万ドル使う──みたいな。そうかーそんな金の使い方があるんだなーというところがよかったなあ。またなんとも、乱交現場の後そのものの、そこら辺に落ちているおっぱいをたまにさわりながらを優雅に歩いて最後外を眺めて「200万ドル使ってやったぜ」というベルフォードがなんともかっこよかったよ。金を使うのも結構大変だがこの男は楽しく金をつかえるおとこだからいい。

狂気に満ちているが、その金の使いっぷり、テンションの上げっぷりはあっぱれ。もうこの方向性でこれ以上の作品は出てこないだろうと思うと、ずいぶんな価値のある映画だ。僕だったらはたから全部宇宙開発系の事業に金を注ぎ込んで終わってしまいそうだ。まあ人間、金があればたいはんの不幸は回避できるけど、金に支配されちゃあダメだよね。

最後に特記しておきたいのは繰り返されるFuckの多義的な内容で、字幕に翻訳しきれていない部分がたくさんあったのがずいぶん惜しかった。通常のファック! 言葉の中にファック! 何度もファックが挿入されるとどうしても日本語に翻訳されきれないんだよなあ。明らかに「クソッ」とかの一義的な置換えができる単語ではない。びっくりするぐらい言葉の映画なんだよなあ。