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基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

魔法科高校の劣等生13巻

買ってきて帰りの電車の中で読み終わった。

話の導入が強引でなんだか前年と同じ展開が繰り返され、長い長い序章という微妙な一冊に……。短編で補完するといっていたが、前年とほとんど同じ内容を短編化されても意味がない。達也くんというのはあまりにも能力が高過ぎるのはいいとしても感情移入のフックになる「弱さ」の描写がほとんどないキャラクタである。立ち位置的には「既存の制度から正当に評価され得ない才能」としてのキャラクタではあるものの、既存の制度に正当に評価され得ない部分はほとんど霞んでしまってみえない。二部になって立場的なところも、周囲の評価も、マイナス面では掻き消えてしまった。

その点についていえば、初期コンセプトが崩れ始めている。そしてピンチの演出方向性がずっと変わらない。国家レベルの陰謀も、街を巻き込んだ戦争も、既に1年目で経験済みとなった今、次なる方向性は基本的に「もっとすごい陰謀を進行させる」「陰謀の方向性を変える」「展開を戦闘方面から技術方面へと展開させる」といくつかに絞られてくるはずだが、2年生編の展開はなんだかそのどれに当てはまるのかよくわからない、前回踏襲でござい、みたいなおざなりな展開が控えているみたいで恐ろしい(もちろん今回だってその演出の方向性は変わってはいるんだけど)

ソードアート・オンラインが主人公無双系の作品にしてうまかったのは○○編ごとにゲームが変わってレベルが1に戻るところだった。そのくせプレイヤースキルは蓄積されているのでやり直しがきく。同時期にアニメが放送しているノーゲーム・ノーライフもある意味ではその方向性で、主人公の機略と知識は常に一方向に伸び無双し続けるのではなく時にはギャルゲー、時にはしりとりとゲーム盤を変えることでそれぞれ演出方法を変えていく。魔法科高校の劣等生も、魔法の種類によっての変化はつけているけれども、よくわからんというのが正直な所。

わざわざ共感できないキャラクタを作ったのだから、共感できないキャラクタにしかできない話をやってもらいたいところだけども。でもそのへんも「人間が書けていない」とかアホみたいな評価をもらっていたSF作家の系譜に連なるような気もする。

あとこれまではほとんど意識しなかった地の文の表現のくだらなさが随分気になってしまった。「え、この無駄なくだり必要あったか?」みたいな。これは僕が元々ほとんどの部分はWeb版を読んでいて紙では読んでいないから気にならなかったのかもしれない。Web版と紙の文庫本ではやはり小説の形態というのは変わるはずで、Web連載の補正作業版だった11巻まで(だったっけ?)と文庫書き下ろしの12巻以後ではその性質に違和感が出るのもしかたがないことなのかもしれない。