基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

レベル98少女の傾向と対策

汀こるものさんの新刊。妖怪をつきしたがえてだいたいなんでもできる超絶魔法少女奇譚第二弾。

第一弾よりも楽しめたな。それはこっちのほうが面白いというよりかは、第一巻目を読んでなんじゃこりゃと思い、その後こるものさんの作品を電子書籍で買える分は全部買って読んできてファン度がましているからのような気もする。キャラクタもそれぞれかたまってきて事件が派手だしな。新しい付き人妖怪もぽこぽこ出てきて過去も語られさながら妖怪コレクションの如しであった。しかしこれ、読んでて思ったけどいわゆる「俺TUEEEE」物なのではないかと。一瞬思ったはいいものの、似て非なる何かだな、と思ってそれっきりだった。

面白いのは間違いないが、しかしなんともどう面白いかの表現に困る作品群である。ひとつ言えるのはだいたいありえないような状況を設定しておきながら、その中身に現実的な価値観というか状況対応をはさみこんでいくギャップは面白いかな。たとえば妖怪がいる。天狗がいる。天狗はなぜかiPadを使いこなしインターネットから情報をばりばり吸い上げ現代社会に通じている。銃火器をひたすら駆使する天狗もいる(物理)。狐や蛇の妖怪がわんさか出てくるがどいつもこいつも俗っぽく仰々しくない。その辺にいそうなやつらが設定上物凄い力を持っているような感じ。

最強レベルの能力を持っておきながらも悩むのは親子関係だったり生理だったりと極々日常的なことだったりもする。食事のシーンはかなり多いし、風呂にも入ればライブにもいく。生理の話はそれだけで一本成立しているぐらいじっくり描写されていく。ものすっげえ力を持っていたり妖怪がわんさか出てきたりするが、そうした日常がしっかりしていることそれ自体がギャグのようになっている。そしてそうした日常をしっかりと構築していくからこそ割合大きな、ド派手な話になっても突飛な印象もそう受けない。

リアリティがあるというと語弊をうみそうなので別の表現を考えるが、わりと「日本滅亡」レベルの大惨事が起こりかけてても「マジで」ぐらいの返答しか返ってこないとか、おかしなことが日常的になってしまっていてみんなテンションが高まっていかない様子とか、あらゆる場面で大雑把でない、淡々とした部分がまた面白味になっている。市子にしきりとからんでくる男の子に「生理三日目だからそういうのしねーんだよ、来週にしろ」といって男の子側が呆然として去っていくところなんか、身も蓋もない感じだが確かに中学生ぐらいの(かなり成長してもだが)男ってその辺疎いし未知の領域なので赤裸々にされるとどうしたらいいのかわからなくなって戸惑ってしまうものだ(別に実体験があるわけではない)。

まあ正直そういうことは本質というよりかは、それを隙間なく、過不足なく、きっちりと情報を詰めていく技倆とそこら中にギャグが入っている文体そのものが凄いんだけど。そうした文章自体の面白さ自体は簡単に語るには難しい領域になってくる。

なんだろうな。マシンガンウンチクだったり綿密に描写される情景でもそうなのだが、結局文字というのは絵や映像に比べれば一度に受け取る情報は極少ないのだがその代わり文字でしか表現できない部分、たとえばそれこそウンチク的な情報だったり細かい部分をクローズアップするような描写だったりを圧縮して殴りつけられる感じ。家が壊れていく描写や街が破壊されていく描写、そうした描写は大抵の場合「そういうことがあった」ことを伝える為の手段にすぎないがこるものさんの描写は割合迫真というか、「そういうことがあった」と読まされた時以上の、壊された側の「うぎゃあああ」という悲鳴が伝わってくるようでとても好きだ。

いやあ、いいシリーズだと思う。出たばかりだけど次が読みたくなるのはいいシリーズだ。