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基本ライトノベル

ライトノベルについて書くブログだったはずだけど日記のブログだよ

フォルセス公国戦記 ―黄金の剣姫と鋼の策士― (富士見ファンタジア文庫) by 至道流星

これはなかなか面白かったな。

敗戦により破産しかかった国を強引に立て直す財政再建架空戦記、面白いのはユニットに信長の野望的な能力値とスキルがついている(政治75未満の相手とあらゆる交渉を成立させる、兵士の攻撃力50%アップなど)戦略ゲームみたいなところが面白い。まだまだその真価は発揮されていないが。デビュー作から近作の傾向までを俯瞰して、至道流星さんの作風は現代政治から経済といった方にポイントを振っているのは確かであり、このような架空戦記物に手を出すのは意外だが、内容は比較的(僕が読んだここ10年ぐらいのファンタジーライトノベルについて)リアル寄りに描写されており、経済をど真ん中に据えたパートはもちろん戦争の描写もそれなりに読ませる。

ただ描写面ではなかなか良い物の、既存のほとんどの至道流星作品を読んできている読者からすればプロットでのワンパターンがちょっとつらい。特にピンチ演出とかなあ……他の作品でも散々やり尽くしたことをまたやっているのかとげんなりするところもある。デビュー作のあからさまにキャラクタをパクってた頃からすればキャラクタ自体もどこからパクってきたのかわからない(それぐらいありふれた型だともいえるが)ようにする技術はついているし、プロットの方も今後どうにかなっていくのだと信じたい。

あと一点、出だしがそれなりにリアル寄りで走ってきたにも関わらず、そこまでの水準を考えれば極端におかしな場面も出てくるが、これは作中のステータスやスキルなどの関係から「信長の野望(的なゲームに由来するバトルシステム)」なのだろうと思うほかない。ようはリアル寄りの物資・戦争状況・経済状況・そこからくる動機を描写する一方でバトルシステムにゲーム系統から輸入しているからそこに齟齬が出てくる(部分がある)。これは今後どうなっていくのか興味深いところだ。今のところどっちつかずだからね。

たとえばキャラクタにそれぞれ固有の能力値とスキルが与えられているのは面白いが、描写する上で難しいところもあると思う。AとBで能力値がAの方が高いキャラクタが戦った場合、そこに何らかの理由付けがなければBは勝利することができないわけで、たとえばなんか凄い気合を出したり技術的な部分を発揮して勝ちました! といったら「え、じゃあステータスってなんも意味ないのけ?」と読んでいる方からすれば思うだろう。スキルも「政治75以下の人間にあらゆる交渉を成立させる」とかも、そのまんまゲーム的に描写したら明らかにおかしなことになるわけで、描写上クリアできるのか楽しみ。